
【サンクトペテルブルク(ロシア)28日】20年夏季五輪の追加実施競技を審議する国際オリンピック委員会(IOC)理事会(日本時間30日未明)を翌日に控えた28日、除外危機にあるレスリングが“大打撃”を受けた。元祖霊長類最強ことアレクサンドル・カレリン氏(45)が、けがにより入院し欠場することが判明。五輪3連覇の吉田沙保里(30)=ALSOK=はショックを吹き飛ばし「カレの分までロビー活動をやる!」と腹をくくった。
吉田が待望していた霊長類最強アベックは、思わぬアクシデントがカレリン氏にふりかかり実現できなくなった。
現役は退いているカレリン氏だが、ロシア連盟のゲオルギー・ブリュソフ副会長によると「トレーニング中にけがをしてしまい右足首を手術した」という。負傷した時期は明かさなかったが、全治2~3週間の入院を余儀なくされたそうで「今朝、彼とも話をしたが、残念ながら会場に行けなくなった」と説明。
金メダル3個を首から下げ、カレリン氏とのロビー活動を描いていた吉田は「え~っ!?」とショック。しかし「残念だけど、カレの分まで頑張る。自分にできることを精いっぱいやる」と、すぐに気持ちを切り替えた。
一報を受けた後は、IOC理事会の会場となる巨大展示場「LENEXPO」を下見。世界各国の競技団体のブースが並ぶ会場内を金メダル3個をぶら下げ練り歩くと黒山の人だかりができた。日本協会の福田富昭会長(71)とIOC理事を訪れ会話を交わすなどのロビー活動を行った。
国際レスリング連盟(FILA)のブースでは、ロシア連盟の首脳陣やFILAのラロビッチ会長と一致団結を宣言。ロシア連盟のマミアシビリ会長からは「デモンストレーションをしてくれ!」と出撃要請も飛び出した。だが、吉田は「シングレット(レスリングのユニホーム)ないし! 見てるだけで!」と苦笑いしながら、やんわり断った。
日本時間の30日未明には追加競技候補が決まる。8競技から3つに絞り込まれる見方が強く、レスリングは残る公算が大きいとされる。FILAはこの日午後に北京五輪女子48キロ級金のキャロル・ヒュン(カナダ)ら5人のパネリストを集めプレゼンの入念なリハーサルを実施。ロシアのプーチン大統領も来場予定で、現地の追い風を得て生き残りをかけるラロビッチ会長は「自信がある。これは自分たちの場所を守るための戦いだ」と拳。9月のIOC総会での最終審議に残るための第一関門を迎える。
【関連記事】
【レスリング】沙保里、ロビー活動開始「残ると信じて頑張る」
【レスリング】沙保里、ロシア到着 競技存続へ「戦いに来た」
【レスリング】沙保里、五輪残留へ英語アピール!カレリン氏とロビー活動
【空手】五輪競技へ美人空手家・宇佐美里香が猛アピール
PR